2023年8月25日 Lab.Firstを公開しました。

二次抗体ってどんなもの?

Tech Info

二次抗体とは、ターゲット特異的な一次抗体と結合することにより分析物の検出を可能にする抗体のことです。二次抗体は科学研究に最も広く使用されている試薬の一つであり、幅広いフォーマットで入手可能です。二次抗体の主な利点はシグナル増幅能であり、アッセイ感度を向上させることができます。さらに二次抗体は複数のアプリケーションに適合する利便性の高い試薬です。

Cosmo Bio would like to acknowledge and thank the Southern Biotechnology Associates Inc for providing “What is a Secondary Antibody?” information presented here.

1. 二次抗体の利点とは?

二次抗体は間接的な検出に使用される抗体です。つまり、すでにターゲットに結合している特異的一次抗体を認識します。二次抗体は宿主動物に他種由来の抗体を免疫することで作製され(例えば、ヤギ抗ウサギ二次抗体は、ヤギにウサギ抗体を免疫することで作製される)、その後精製され、 酵素や蛍光色素などの検出成分で標識されます。

複数の二次抗体がそれぞれの一次抗体と結合することができるため、二次抗体はシグナルを増幅し存在量の少ないターゲットを検出する可能性を高めることができます。

2. 二次抗体はどれくらい特異的なもの?

クラスとサブタイプ

多くの場合、二次抗体はターゲットの種由来の免疫グロブリンの混合集団に対して作製されます。このアプローチによりすべての抗体クラス(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)とサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)、さらに重鎖と軽鎖(HとL)の両方を認識できる二次抗体が調製されます

免疫戦略を調整することにより、特定の抗体クラスまたはサブタイプ、あるいは特定の軽鎖(κまたはλ)のみに対する二次抗体を作製することも可能です。これにより、同じ生物種(ただし、クラスやサブタイプは異なる)の複数の抗体を同じ実験で組み合わせることができ、マルチプレックス・アプリケーションの柔軟性を高めることができます。

Southern Biotech社では、ヒト・マウス・ラットのアイソタイプやサブタイプに特異的な、ポリクローナルおよびモノクローナル二次抗体の幅広いセレクションを提供しています。

交差反応性の回避:アフィニティー精製と交差吸着

誤った結果をもたらす可能性のある交差反応性に対処するため、抗体を製造する際には、二次抗体試薬をアフィニティー精製し、交差吸着させます。アフィニティー精製では固定化されたターゲットの抗体を用いて、異種抗体プールからターゲット特異的な二次抗体を精製します(例えば、ヤギ抗マウスIgG1二次抗体をアフィニティー精製するためにマウスIgG1抗体が用いられます)。

精製された抗体は他の生物種由来の抗体や、異なるクラスやサブタイプの抗体などの好ましくないオフターゲット結合を示す抗体を除去するために、交差吸着させることができます。交差吸着二次抗体を使用することが重要な状況としては、二次抗体が分析物の捕捉に使用された抗体を認識し、結合してはならないサンドイッチELISAや、信頼性の高い結果を得るために二次抗体がサンプル種に結合することを避けなければならない免疫組織染色(IHC)などがあります。

Southern Biotech社のHRPおよびAlexa Fluor®標識二次抗体は、複数の生物種に対して交差吸着しており、マウス・ウサギ・ヤギ・ヒトおよびニワトリの免疫グロブリンを検出するための製品を取り揃えております。

3. 二次抗体のフラグメンテーション 

二次抗体は歴史的に全抗体フォーマット(例えば whole IgG)として供給されてきましたが、最近ではFabやF(ab’)2を含む抗体フラグメントも幅広く利用されています。Fabの「F」は「断片(Fragment)」、「ab」は「抗原に結合する(antigen binding)」のことを示します。これらの新しいフォーマットは抗体フラグメントの結晶化可能領域(Fc領域、fragment crystallizable region)を持たないため、免疫細胞(マクロファージ・樹状細胞・B細胞など)上のFcレセプターに非特異的な二次抗体が結合するリスクを排除します。また抗体フラグメントはサイズが小さいため、抗体分子全体よりも効率的に細胞や組織に入ることができます。

Southern Biotech社では、幅広い種に特異性を持つ、広範囲に特性評価され、アフィニティー精製された断片化二次抗体を提供しています。

4. 標識二次抗体の使用例

二次抗体には様々な標識が結合しています。あらゆる標識の中からどれを選択するかは、目的とするイムノアッセイ技術やマルチプレックス解析が必要かどうかによって決まります。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)のような酵素で標識された抗体は、ELISAやIHCのような比色測定法を用いる場合に主に使用されており、それぞれ3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン(TMB)や3,3′-ジアミノベンジジン(DAB)のような基質と組み合わせて使用されます。酵素標識二次抗体はウェスタンブロッティングでも一般的で、ECL(enhanced chemiluminescence)基質はフェムトグラムレベル(fg/ml)の感度を達成することができます。

抗体の選択については、宿主種・アイソタイプ・交差吸着・断片化抗体・アッセイ適合性についての情報を掲載したHow to Choose Secondary Antibody Guideをご覧ください。

二次抗体が蛍光タンパク質(例えばアロフィコシアニンやR-フィコエリトリン)や蛍光色素(Alexa Fluor®やシアニン色素など)のような蛍光体で標識されている場合、パネルデザインに十分な注意を払うことで免疫細胞化学(ICC)やフローサイトメトリーなどのアプリケーションでマルチプレックス解析が可能になります。タンデム色素(R-フィコエリトリン/CY5など)は、同じ励起波長を共有する二次抗体試薬を同じフローサイトメトリー実験で組み合わせることができるという利点があります。

二次抗体にはビオチンで標識されたものもあり、免疫組織染色実験のシグナル増幅に用いられるアビジン-ビオチン複合体(ABC)法などの用途において、ビオチン-アビジン/ストレプトアビジンの高親和性相互作用を利用することができます。

Southern Biotech社では20種類以上の酵素および蛍光色素標識二次抗体をラインナップしており、お客様のニーズに合った試薬がきっと見つかります。

関連情報

SouthernBiotech社 二次抗体
ポリクローナル/モノクローナル二次抗体をラインアップ