2023年8月25日 Lab.Firstを公開しました。

二次抗体の選び方

Tech Info

二次抗体の性能を最大限に発揮するには、一次抗体の特性・サンプル・アプリケーション・検出技術など、多くの要素を考慮する必要があります。

Cosmo Bio would like to acknowledge and thank the SouthernBiotech for providing “How to choose a secondary antibody” information presented here.

二次抗体の選択はなぜ1番に考慮しないといけないの?

適切に選択され、適切に作製された二次抗体は、高い感度と特異性で一次抗体に結合することで一次抗体のパフォーマンスをサポートし、データの品質に大きな違いをもたらします。一次抗体の性能が低い場合、二次抗体がそれを補うことはできませんが、一次抗体と二次抗体を適切に組み合わせることで、高シグナル・低バックグラウンドで、科学的疑問に対する明確な洞察を得ることができます。本稿では、二次抗体の選択方法について、選択プロセスで考慮すべき様々な要因について説明します。

なぜ二次抗体は一次抗体の宿主種を対象とする必要があるの?

二次抗体は一次抗体の定常領域に結合する必要がありますが、定常領域の配列は生物種によって異なるため、一次抗体の宿主生物種に対する二次抗体を選択する必要があります。例えば一次抗体がマウスで作製されたものであれば、抗マウス二次抗体が必要になります。

ほとんどの研究で一次抗体を作製した生物種以外で二次抗体を作製することができます。上記の例では、ウサギ抗マウス二次抗体やヤギ抗マウス二次抗体などを使用することができます。

二次抗体は、一次抗体のアイソタイプを対象とするものでなければならない?

二次抗体は一次抗体の定常領域に結合する必要があるのですが、定常領域の配列は一次抗体のアイソタイプに依存するため、一次抗体のアイソタイプを対象とする二次抗体を選択する必要があります。

例えば一次抗体がマウスIgMの場合、マウスIgMに特異的な二次抗体、すなわち抗マウスIgMが必要です。あるいは、一次ポリクローナル抗体のアイソタイプがウサギIgGの場合、ウサギIgGに特異的な二次抗体(抗ウサギIgG)が必要です。通常、IgGのH鎖およびL鎖、ならびに他の免疫グロブリンのL鎖と反応する抗ウサギIgG(H+L)が使用されています。

免疫グロブリンのアイソタイプ(クラス)とサブクラス

  • 免疫グロブリンクラス – IgG, IgM, IgA, IgD, IgE
  • マウス免疫グロブリンサブクラス – IgG1, IgG2a/IgG2c, IgG2b, IgG3
  • ヒト免疫グロブリンサブクラス – IgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA1, IgA2
  • ラット免疫グロブリンサブクラス – IgG1, IgG2a, IgG2b, IgG2c
  • ハムスター免疫グロブリンサブクラス – IgG1, IgG2, IgG3
  • L鎖 – Kappa(κ)、Lambda(λ)
  • H鎖 – IgG (gamma/γ)、IgM (mu/μ)、IgA (alpha/α)、IgD (Delta/δ)、IgE (epsilon/ε)

サンプルの種に対し交差吸着処理(プレ吸着)している必要があるのはどうして?

二次抗体による非特異的なバックグラウンド結合や交差反応性を最小化するために、サンプルに由来する生物種に対して交差吸着/プレ吸着されている二次抗体を選択することが必要となってきます。

例えば、サンプルがヒト組織の場合、ヒト免疫グロブリン(Ig)または血清タンパク質(SP)に対して交差吸着されている二次抗体を選択します。こうすることで二次抗体がヒト組織に対して最小限の交差反応性を示すようになります。

抗体フラグメント(F(ab’)2またはFab)の二次抗体の使用を検討することが必要な場合

SouthernBiotechでは、全分子の二次抗体だけでなく、F(ab’)2またはFabフラグメントのみの二次抗体も製造しています。抗体フラグメントの二次抗体は、このようなときに有用です:

  • 免疫組織化学や同様のアッセイで、二次抗体が組織に浸透する必要がある場合。F(ab’)2やFab二次抗体はサイズが小さいため、全分子抗体よりも組織の奥深くまで移行することができます。
  • Fcレセプターを含むサンプル を使用する場合。F(ab’)2およびFab二次抗体にはFc領域がないため、Fcレセプターを含むサンプルでは非特異的結合やバックグラウンドの減少につながります。

アッセイおよび検出技術に適したコンジュゲートを選択するには?

二次抗体の検出には様々な方法があり、検出技術をどうするかによってコンジュゲートを選択します。ウェスタンブロッティングやELISAアプリケーションでは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)やアルカリホスファターゼ(AP)などの酵素結合型二次抗体が一般的に利用され、どちらも比色法や化学発光法を用いて検出することができます。また、蛍光色素(Alexa Fluor®、FITC、TRITC、APC、PEなど)と結合した二次抗体を検出できるプレートリーダーやイメージング機器もあります。

フローサイトメトリーや免疫蛍光アプリケーションでは、蛍光色素と結合した二次抗体が必要となります。

二次抗体の命名システム

SouthernBiotechでは、二次抗体を選択する際に必要な情報を提供する方法で二次抗体に名前を付けています。

関連情報

SouthernBiotech社 二次抗体
ポリクローナル/モノクローナル二次抗体をラインアップ