(vol.4 からの続き)
フローサイトメトリー プロトコール
本稿では一般的なフローサイトメトリーの実験手順をご説明します。参照ガイドとしてご利用いただき、詳細はご利用になる商品のデータシートをご確認ください。
フローサイトメトリー実験の最適化
フロー手順のほぼ全てのステップで、選択肢があります。どの細胞固定法や透過処理方法が最適なのか。多色染色にはどの蛍光染色を使うべきか。使用する抗体にはどのイソ型コントロールが適切なのか。ここでは、フローサイトメトリー実験における最適化のポイントをご紹介します。
サンプル調製最適化
高品質なフローデータを得るための最初のステップはサンプル調製です。単一細胞懸濁液を調製する非常に重要なステップであり、予期せぬ装置の詰まりや低品質なデータを避けることができます。
- 可能な限り、凍結融解した細胞ではなく、新しく単離した細胞を使用する。
- 融解細胞の生存率を上げるため、融解細胞の初期希釈を高血清濃度下(90%FBSの培養培地)で行う。
- 接着細胞が多い集団を単離する場合は、組織培養非処理のディッシュやチューブを使用する。
- 複雑な組織から細胞を単離する場合、食作用や細胞融解を防ぐため氷上操作する方がよい(消化酵素を使用するステップは除く)。
- 均一な単一細胞懸濁液を調製し、細胞崩壊を防ぐため、ボルテックスにかけるのではなく、できるだけ優しくピペッティングを行う。
- もし、下流のステップで生細胞選別を行う場合、各ステップで細胞を計数して生存率を確認する。
- ナイロンメッシュを通して細胞塊や他の破片を除去し、最終懸濁液中の死細胞数を最小限に抑える。
透過処理と固定法の最適化
抗体を細胞内のタンパク質に期待通りにバインドさせるためのさまざまな透過処理や固定法があります。細胞固定により標的タンパク質を元来の細胞内部位に維持することができ、可溶性抗原や半減期の短い抗原の安定性が向上します。
- サイトカインのような分泌タンパク質の染色には、サイトカインを内部に閉じ込めるため、固定/透過処理の前にモネンジンやブレフェルジンAといったタンパク質輸送阻害剤を添加する。
- 表面と細胞内の染色を組み合わせて行う場合、固定/透過処理で抗原決定基を変更し抗体結合に影響を及ぼす場合があるため、まず表面マーカーを染色した後、固定/透過処理を行う方がよい。
- 固定/透過処理試薬は細胞の散乱特性や自己蛍光を変化させる。したがって、同一試薬で処理した未染色コントロールを含むことを推奨する。
- 抗体の表面抗原への結合で細胞を刺激し、細胞内シグナルタンパク質の発現に影響する場合がある。したがって、表面染色は刺激後に実施するべきである。
- リン酸化は一時的であるため、フォスフロー染色では、細胞を刺激後、直ちに固定して透過処理する。
- 適切な透過処理剤の選択が非常に重要である。サポニンまたはトリトンXやメタノールのようなデタージェントを選択することもある。
- サポニンは表面抗原決定基を変更しないため、その後で表面染色を行うことができる。
- トリトンXやTweenは長期培養により細胞を可溶化するため、避けた方がよい。
- メタノールはほとんどの細胞内抗原と互換性があり、メタノール処理した細胞はシグナルを失うことなく、-20~-80°Cで長期保存できる。
- 蛍光色素によってはメタノール処理に耐えられないものもある。以下の表に一般的に使用される色素をメタノール耐性と感受性にわけて示した。
メタノール感受性 | メタノール耐性 |
---|---|
FITC | PE |
eFlour 450 | APC |
eFluor 660 | |
Alexa Fluor 647 | |
Alexa Fluor 488 | |
PerCP | |
全てのタンデム型色素 |
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情報公開日:2023年8月
掲載元:コスモ・バイオ株式会社
掲載元:コスモ・バイオ株式会社