2023年8月25日 Lab.Firstを公開しました。

フローサイトメトリー入門講座 vol.4

Tech Info

vol.3 からの続き)

フローサイトメトリーサンプル調製

全てのフローサイトメトリー(またはFACS)実験は、サンプル調製から始まります。重要なことは、機器の詰まりを防ぎ、高品質かつ一貫した結果を得るために解析する細胞を単一細胞懸濁液とすることです。以下のサンプル調製ガイドをご参照いただき、フローサイトメトリー解析用のサンプル調製方法をご確認ください。

染色用の細胞調製

フローサイトメトリー解析用の細胞は、おもに4種類の供給源に由来します。

  • 接着または浮遊培養
  • 凍結保存サンプル
  • 全血またはバフィーコート
  • 固体組織:例えば、骨髄、脾臓、腸など
  • 凝集塊や壊死組織片のなり均一な単一細胞懸濁液
  • 細胞密度106-107 細胞/mL
  • 適切な染色緩衝液に懸濁

全血からフィコール密度勾配遠心分離により単離したPBMCや赤血球可溶化全血、非接着培養細胞は、フローサイトメトリー解析にそのまま使用することができます。接着培養細胞や固体臓器に存在する細胞は、フロー解析を行う前にそれぞれ酵素処理または組織の物理的解離を行い、まず単一細胞懸濁液にする必要があります。その後、機器の詰まりやフローデータの質の低下を避けるため、フィルターでろ過します。使用するサンプルに応じて、以下のサンプル調製プロトコールをご検討ください。

◆ 浮遊培養細胞の調製

主な試薬 : PBS、染色緩衝液

  1. 細胞を、組織培養容器から遠心チューブへと流し入れる。
  2. 300 – 400 xgで5~10分間、室温で遠心する。
  3. 上清を廃棄し、沈殿物をPBSに再懸濁し、上記ステップを再度行う。
  4. 上清を廃棄し、適切な容量の冷却済み染色緩衝液に再懸濁する。
◆ 接着培養細胞の調製

主な試薬 : PBS, 染色緩衝液、0.25%トリプシン

  1. 培養培地を廃棄し、一層の細胞を滅菌PBSで洗浄する。
  2. 温めたトリプシンを一層の細胞がちょうど覆われる程度に添加し、37°で5~10分間(細胞種による)培養する。
  3. 培養培地(血清添加培地)で反応を中和し、緩やかに容器を震盪させて細胞を剥がす。
  4. 以降、浮遊培養細胞調製プロトコールに準ずる。
◆ 凍結保存細胞の調製

主な試薬 : PBS, 染色緩衝液、10% FBS含有培養培地

  1. クリオチューブを直ちに37°Cの温浴に入れ、融解する。
  2. 冷却した遠心チューブに移し、氷冷した培養培地を滴下して細胞が10x希釈になるようにする。氷上操作すること。
  3. 300~400xgで5分間、4°Cで遠心する。
  4. 上清を廃棄し、冷却した染色緩衝液で1回洗浄する。
  5. 適切な容量の冷却した染色緩衝液で細胞を再懸濁する
◆ 全血またはバフィーコートからの細胞調製

主な試薬 : PBS, 染色緩衝液、フィコールやヒストパックなどの適切な密度勾配培地

  1. 全血またはバフィーコートを室温に戻した等量のPBSで希釈する。
  2. 等量の密度勾配培地上に希釈全血を注意して層状にのせる。
  3. 400~500 xgで30~40分間、室温で遠心する。遠心機のブレーキはオフにしておく。
  4. 上相の血漿層と下相の培地相の間の薄い境界面よりPBMCを吸引する。
  5. 顆粒球を除去するため、RBC沈降物のすぐ上の白っぽい色の相を吸引する。
    :異なる顆粒球集団を濃縮するための特殊化された密度勾配培地が処方されている。
  6. 細胞をPBSに再懸濁し、300~400 xgで10分間、室温で遠心する。
  7. PBSでさらに1回あるいは2回洗浄する。
  8. 細胞を適切な容量の染色緩衝液に再懸濁する。
◆ マウス骨髄からの細胞調製

主な試薬 : PBS、染色緩衝液(付録参照)、RBS可溶化緩衝液(処方は付録参照、または市販の緩衝液を使用)

  1. 頸骨や大腿骨を取り出し、無関係な脂肪、筋肉、および結合組織を全て除去する。骨を冷却したPBSに入れ、氷上保管する。以降の操作は全て氷上で行う。
  2. シリンジを冷却した培養培地で満たし、18ゲージニードルを取り付ける。骨の端に針で穴を開け、組織培養用処理済ではないプレート上に中身を流し出す。
  3. 22ゲージニードルを用いて細胞の塊を単一細胞懸濁液へと分離する。
  4. 細胞を300~400 xgで遠心沈降させ、さらに1回冷却PBSで洗浄する。
  5. 細胞を適切な容量の染色緩衝液に再懸濁させ、細胞を再度沈降させる前に細胞数をカウントする。
  6. 細胞を106 cells/mlとなるようRBC可溶化緩衝液に再懸濁し、室温で5分間培養する。
  7. 細胞を遠心沈降させ、可溶化緩衝液を廃棄後、PBSで1回洗浄する。
  8. 細胞を適切な容量の染色緩衝液で再懸濁する。

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